きつねのおおはなし


ちょっと昔といっても100年ぐらい前のことです。
あるところにとってもお産の取り上げに上手なお医者さんが
いました。とても繁盛していました。
ある晩の夜更けのこと、戸をドンドン、ドンドンと激しくたたく者がいました。今晩あたりにお産の患者はいないはずだけどなあと思いながら出てみると男が立っていました。
男は「先生うちの嫁が難産に苦しんでいます。カゴを用意しております是非ともお願いします。」とあたまを下げるので、それではと言うことでカゴにのりました。まちを抜けどんどん山の方へゆきます。
山の中腹でかごが止まり、「ここです。よろしくおねがいします。」かごを降りて見ると立派な門構えの家があり、家の灯りがこうこうとともり人々が立ちはたらいているのが見えました。こんなところにこんな立派な家があったかなと誰の家かなとおもいつつも、無事お産が済み、感謝されつつ大金をいただきまた籠にのり帰りました。
夜が白々と開け始まっていました。その後誰に聞いてもあの家のことは知らないというのです。近頃ちょく、ちょくいたずらをしている狐がいると言うことです。その狐が先生のうわさを聞いて助けを求めたんだろうと言い合った。狐に馬鹿にされたんじゃないかという結論になりました。でもいただいたお金は流石にありがたかったとみえて本物だったということです。


そのごあまり狐が人間に悪さをしなくなったそうです。(k)