今週のお題

私には2っの田舎があります。一つは育った青春の町、そして嫁いだ第2の田舎です。育った頃の町はまだ田んぼや畑があり、家の2階からは山が見え、春には松と桜が美しく、遠くの橋を渡る人が見えました。朝早く詩吟が聞こえたり、小鳥の声が聞こえたりしました。今ではそんな景色を眺めた窓の前まで家が建ち、マンションが建ち何にも見えなくなってしまいました。でも駅に降りると何故か時間がゆっくり流れている感じがします。第2の田舎は10年ぐらい時間が戻ったような感じのところです。何故かなと考えるに、言葉と歴史の建造物と家々のたたずまい、質素な生き方がそう感じるのかもしれません。そして都会は東京に下りると人々の足取りがせわしなく、ぶつかりそうになります。いつの間にか、自分もせかせかと歩いています。今はそんな都会の片隅で、故郷は遠きにありて、思うものと、青い稲穂の上をわたる風の涼やかな季節を思い出してなつかしんでいます。

(k)