ピンチベックにつきまして

お電話でお問い合わせがありましたので、仮にここでお答えいたします。

ピンチベック=金に見える合金(銅と亜鉛など。金は0%)

ピンチベックは、クリストファー・ピンチベックと言う時計職人が、18世紀初頭に作った黄金に輝く合金で、銅、亜鉛が原料らしいのですが、現在は製法は失われています。

ピンチベックさん本人が作った物や、同時代の他の職人の物には、なかなか手間の掛かった良い物があるのですが、普通は、「ピンチベック」というと、単なる安価な金のイミテーションが圧倒的に多いです。
ピンチベックが開発された当初は、金が少ない時代だったので、本物の金を薄く延ばす技法や、ピンチベックなどの合金が広く使われたということです。
駅馬車や観劇、旅行などの際に、盗まれる可能性を考慮して敢えて安価な材料で作られた物もあります。
その当時のジュエリーは、まだ大衆向けの物はほとんど無かったので、大変手間をかけて作られており、安い材料を使っていますが、なにも病ましいことはありません。

その「ピンチベック」も19世紀中期以降に急激に廃れていくのは、技術革新(電気メッキ)、法改正(9金の合法化)、鉱物資源の増産(ゴールドラッシュ)などが原因と思います。

ピンチベックは「金の偽物」ですが、作られた時代が古ければ、ペーストなどと共に「本物」のアンティークです。
また、たとえ「本物」であっても、ヴィクトリア時代中期以降のピンチベックのジュエリーはつまらない物が多いのです。

まず、安い材料には安い仕事しかしなくなり、次に、高い手間賃よりもデカい石という大衆化のいつもの流れです。

中には、「金です」と言って、金ではない物を売る奴がいるので、「それピンチベックでしょうが(=金じゃないでしょうが)」と言う使い方もします。その場合は、厳密な意味ではなく、メッキなどを含めた、金の偽物一般を指しているようです。「とりあえず金じゃないです」と言う意味です。

いかに変なのが多いかということですが..。

まとめますと、「ピンチベック」と言った場合、
1. C.Pinchbeck が作った本物のピンチベック
2. ピンチベックのような、金に見える「合金」
3. 金のイミテーション一般

の3つの意味が考えられます。

......訳が分からなくなった方には個別にお答えいたします...