涼月

少し前の満月夜、セリの散歩に出かけました。空き地の空に涼やかな月が高く昇っていました。少し歩いて見上げる屋根の上に、公園の木々の上に、石段を登って振りかえると石段の上に、月が顔を覗かせて、見守っているかのように青白く涼やかに照らしていました。
明恵上人の「山の端にわれも入りなん月も入れ 夜な夜なごとにまた友とせむ」という歌が思い出されました。
街灯が少ない昔は、月がない夜は本当に真の闇です。遠くの民家の灯り頼りです。母と夜になって帰らなければならないとき、山の裾野に古いお墓が草に埋もれてたっています。そこを通る時は、母の反対側の腕をしっかりつかんで、目をぎゅっとつぶって通り過ぎたものでした。そして夜の夢の中に怖いストーリとなつて、夢のなかまで、でてきました。
今は、夜の散歩のとき、壊れた空き家の前を通るとき怖いです。何故か避けようとするのに、そこへ行くことになったりして、遠周りして避けています。


セリ「そんな夜は、わたしをきつねと間違えられるかな。」